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イチゴの王様とも呼ばれる「あまおう」
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 高級ブランドイチゴ「あまおう」が曲がり角に差しかかっている。品種を育成した福岡県内のみで生産することが認められてきた権利が1月19日で切れ、県外でも生産できるようになる。県とJA全農は苗の流出を防ぎ、引き続き県内のみで生産してブランドを維持したい考えだ。

 あまおうは「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字をとった商品名で、正式な品種名は「福岡S6号」。甘さと酸味のバランスの良さが特徴だ。

 2003年から本格的に販売が始まり、05年に品種登録された。20年間独占して生産・販売ができる種苗法の「育成者権」を得て、ブランド化を進めてきた。

 JA全農ふくれんによると、1キロあたりの販売単価は04年産から20年連続で日本一。23年産は1683円で、県内の生産品種があまおうにほぼ置き換わった07年産の1131円から約1.5倍に高騰した。

 生産農家は23年度が1455戸で、高齢化などにより、最も多かった03年度から約3割減った。栽培面積も同様に縮小している。ハウス設備の資材高騰で新規参入のハードルも上がっているという。

「トップブランドの地位、ゆるぎないものに」

 先行きの不安も顔をのぞかせる中で、「イチゴの王様」として確立したブランド力を、福岡県はみすみす手放すわけにはいかない。

 服部誠太郎知事は6日の会見で「苗の供給は県内の生産者に限定する」と明言。「トップブランドとしてのあまおうの地位をゆるぎないものにする努力を続けたい」と語った。

 県では、大手ネット販売サイトやフリーマーケットサイトであまおうの苗や果実が販売されていないかを検索する「ネットパトロール」を、今後も続ける方針という。

「あまおう」は福岡だけで作り続けられるのか。JAや生産者は危機感を持っていますが、楽観的な意見もあります。そのわけは?
記事後半では、イチゴ産地のライバル・栃木県が育成者権にどう向き合ってきたかについても紹介します

「早く新品種開発を」生産者の不安

 あまおうは商標登録されてお…

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